パグ太郎
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クラシック中心に聴いています。オーディオは手段と考えてはいるものの、気がつくと手段の魔力に取り付かれてしまうことも多く、日々修行をしております。

マイルーム

パグ太郎の部屋
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持ち家(戸建) / リビング兼用 / その他 / 16畳~ / 防音あり / スクリーンなし / ~2ch
Phileweb登録後1年、気が付くとスピーカー導入していました(2018/6)。所有製品はHRS130ですが、製品DBに登録がないので、一番近いもので代替しています。 10数年愛用したアン…
所有製品
  • スピーカーシステム
    GERMAN PHYSIKS HRS120 Carbon
  • プリメインアンプ
    OCTAVE V110SE
  • ハードラック
    QUADRASPIRE QAVM
  • RCA/BNCオーディオケーブル
    KIMBER KABLE KS-1020
  • 電源ケーブル

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日記

ホールの響きに魅せられて。ホルヌング・河村のデュオ・リサイタル

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2017年10月15日

仕事の割り込みの予測がつかないと言うことを言い訳に、近年、生演奏を聴いていなかったのですが、ベルウッドさんのご好意もあり、久々のコンサートに行って来ました。マキシミリアン・ホルヌングのチェロと、河村尚子のピアノによるブラームスのチェロソナタを中心とするプログラムです(2017年10月11日 於 紀尾井ホール)。

ホルヌングは1986年生まれのドイツ人(今年31歳)若手チェリストで、独Sonyと専属契約して数枚のCDがリリースされています。若手注目株というネット情報と、プログラムの一つにマーラーの歌曲「さすらう若人の歌」の自身によるチェロ編曲が含まれていて、作編曲もする人だという程度の事前知識しかないままに、会場に足を運びました。ブラームスの2曲のチェロソナタ。昔からこの曲は、デュプレとバレンボイムの二人が67-8年に録音したこの一枚が愛聴盤。デュプレのチェロは、何時もながらの情念の塊のような勢いで迫ってきます。ちょうど半世紀後の今、新世代を担うと言われる二人がどんな演奏をするのか。

紀尾井ホールに入るのは本当に久しぶりです。シューボックス型の木のホールはやはり美しく、開演前のざわめきを聴いた瞬間に、ホール全体が鳴り響くけれども、反響音のスピードが速いためか、演奏は直接耳に届く様に感じられるという自分好みのホールだったことを思い出し、これから始まる演奏への期待が増します。

1曲目からメインディシュの一つ、ブラームスのソナタ1番。冒頭のほの暗いチェロの主題提示から、その音色の美しさに驚かされました。そして、情念迫ると言うよりも、率直に雄弁に歌いきるという、至極真っ当なスタイルでありながらも、伝統に寄りかかることのない新鮮さを感じます。ピアノは河村らしい情緒あふれる演奏です。彼女のピアノが楽曲自体をリードするシーンも多々あり、この曲のピアノの役割の大きさを体現する好演です。これは凄いかもしれない。

ただ、ピアノの強奏部分になると、音の響きに、かすかな違和感があります。ピアノの透明感が薄れて見通しが悪くなる、弦の響きが詰まるよう印象です。そのことは、2曲目のシューマンの『5つの民謡風小品集』の冒頭での前曲との差で、はっきりしました。シューマンのこの曲でのピアノは、あくまで伴奏で控えめになります。その途端に、全体の透明感が戻り、チェロが更に朗々と響き始めたのです。そして、このシューマンも歌心満載で、2曲目、3曲目のメランコリックな旋律の歌わせ方は二人の美質を端的に表現していて、心に迫るものがありました。いや、本当に素晴らしい。

マーラーの『さすらう若人の歌』のチェロ編曲版は、この歌曲の世界をどのようにチェロに移し変えるのかという興味の方が先立ってしまいます。結果は、健闘はしていましたが、声楽フェチの私は、どうしても声が聴きたくなってしまいます。

ここで前半終了。休憩時間に入ると調律師が登場し、上から下まで微調整を始めました。ほぼ20分の休憩時間全部を使っていたでしょうか、ポロンポロンと一音一音を確かめていく音で、ホール全体の響きに包まれる感じでありながらも、直接音の様に聞こえるという、このホールの音響の素晴らしさが、さらにはっきりと判ります。やはりホールとオーディオ再生とは別物ですが、拙宅システムはどうも、直接音が勝ちすぎ。

さて後半は、2皿目のメインのブラームスのソナタ2番。冒頭から驚きました。音の透明感が変りました。ピアノのフォルテ部分で感じたわずかな混濁感が消えて見通しがよくなり、チェロがますます解放されたかのように歌いだしたのです。1番とは性格の異なる複雑な構成と、渋い曲調でありながらも高い技巧を求められるこの曲、特に後半は低弦の「うねり」だけが続くようなシーンもあるのですが、そういうことを全く意識させない歌の世界を二人は繰り広げてくれました。これは、次世代を担うデュオと言われるのも納得です。

アンコールは、クライスラーの『愛の悲しみ』、リズムにアクセントを効かせたサービス精神あふれる演奏、最後の一曲は初めて聴いたキルマイヤー(今年8月に亡くなったとのこと)の『フィガロのカプリース』は二人の別の側面も見えた、溌剌として面白い曲。もっと色々な曲を聴いてみたいという期待を高めるアンコールでもありました。独特のホールの響き、上り調子の二人の協演、チェロとピアノの生音を堪能した素晴らしい一夜でした。「生演奏を聴かなければ、オーディオの基準点もわからないよ」というのが恐らくはベルウッドさんのお心遣いだったと思います。そのお気持ちを有り難く頂戴させて頂きました。コンサート通いが再燃しそうな怖い予感がします。

(休憩を挟むと演奏ががらりと変わることは室内楽では珍しくありませんが、今回は、演奏が変ったと言うより、楽器の響きが変ったような印象でした。もしかすると、あの休憩時間のポロンポロンの影響? でも、前半でも調律が変だとも思いませんでしたし、、、、が、そこまで耳に自信があるわけでも無く)

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  1. パグ太郎さん

    お楽しみいただけたようでよかったです。

    紀尾井ホールは、中規模のホールとしてはとてもよい響きで日本を代表する名ホールだと思います。

    藤村実穂子さんは、出光音楽賞でしたか授賞式のガラコンで歌った後にそのまま事務室にやってきて、「ぜひこのホールでリサイタルを開きたい」と頭を下げたそうで、頼まれたスタッフをびっくりさせたとか。

    ピアノというのは難しい楽器ですね。唯一、演奏者が自ら直接チューニングやコンディショニングなど手をかけられない楽器です。ベストに仕上がっていて、休憩時間にも調律師が姿を見せないという場合でも、演奏するほどに楽器が暖まってくるという感じがするのは不思議です。今回は、休憩の間、ずっと調律師がかかりっきりだったとのことで、うまくいっていなかったのだと思います。

    紀尾井ホールは、基本的にメーカー派遣のある調律師の方がご指名で専門についているそうです。イモージェン・クーパーさんは、演奏会後に「このままこのピアノを次の公演のカナダまで持っていきたい」と大絶賛でした。けれども時として、必ずしも、完璧とはいかないのがピアノという楽器ですね。

    byベルウッド at2017-10-16 11:36

  2. ベルウッドさん

    本当に久々で、大変楽しかったです。

    演奏も素晴らしかったですし、ここのホールの響きがここまで良かったのかと再認識しました。10年前よりよくなっているような気がしました。ホールにも熟成というものがあるのでしょうか。

    また、先日は、ブラームス・シューマンというロマン派の王道というプログラムでしたが、ホルヌング・河村の二人は、もっともっと表現の幅がある様な印象があり、ベートーベンとか、或いは現代物やフランス物とか、色々聴いてみたいという気持ちになりました。

    また、だれかヴァイオリン入れてトリオとか・・・誰が合いそうですかね。こうやって、刺激受けると、色々と妄想を膨らませてしまいます。

    byパグ太郎 at2017-10-16 22:24

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