日記
ニッキー邸のタイムマシーンで時間旅行を楽しむ
2018年05月27日
ニッキーさんから、昨年末から何回かお宅訪問のお誘いを受けていたのですが、双方日程が合わず延期を繰り返していました。漸く5月の最後の土曜日、9ヶ月ぶりの訪問をさせていただきました。前回訪問時は、師匠と監査役による測定器持込のセッティング道場と化したオフ会で、私は目を丸くして座っていただけでしたので、落ち着いてニッキー邸で音楽を聴かせていただくのは実は初めてなのです。ニッキーさんは、このところアナログ再生に力を入れておられている様子ですので、それを聴かせていただくのも楽しみです。
オーディオマニアのハッカーが住んでいるという噂の高尾駅近辺で昼食をご一緒した後、見晴らしの良い高台の上のマンションの8階にあるお宅に通して頂きました。
先ず気が付いたのは、新調された椅子、そしてSP前の床面に敷かれた4枚のボード。改めて見ていくと、スピーカーが平行配置になっています。後方にあったパワーアンプがスピーカー間に来て、後ろのスペースがスッキリ。壁面の音響チューニンググッズが増えているような・・・・。色々と試行錯誤をされている様子が伺えます。
歓迎の曲としてかけていただいたのがこのLP。
前回と比べてどうですかと聞かれましたが、前回は落ち着いて聴くどころではなかったのです。それでも、空間表現、特に奥行きが深くなっているのは確かに判ります。そのことをお伝えすると、それでは聴きなれた持参CDで違和感がないか確認して欲しいとのこと。声楽、オーケストラ、バイオリン、ピアノを聴かせて頂きましたが、師匠でも監査役でもない私などが何か指摘できるようなことは何も無く、素直に音楽が楽しめるシステムです。ピアノのソロを聞いたときに、響き方が少し違うことに気が付いたくらいです。そのこともお伝えしました。これで、ニッキーさんの音楽を聴かせていただく準備が整ったようです。
セル指揮・クリーブランド管の『ペールギュント』と『アルルの女』、ハンドリー指揮・ロンドンシンフォニーの『1812年』とクラシックのLPが続きます。
バランスが良く、神経質な所、刺激的な所が全く無い、音楽に引き込まれて、それに集中したくなる素晴らしい姿です。クラシックでなくていいので、ニッキーさんのお好きな、何時も聴いている曲を聴かせていただきたいとお願いしました。
それではということで掛けて頂いたのは、懐かしいロック・ポップスの名作の数々です。
リリース年代順に並べると、ビートルズ『カムトゥゲザー』(1969年)、カーペンターズ『シング』(1973年)、クイーン『輝ける七つの海』(1974年)、イーグルス『ホテル・カルフォルニア』(1976年)、アバ『ダンシング クイーン』(1976年)、YMO『ライディーン』1980年、マイケル・ジャクソン『スリラー』(1982年)。殆どが、私が10代だった頃、ほぼリアルタイムで聴いていた超有名曲ばかり。アナログらしく厚く、張りのある低音に支えられた力強い表現力のある再生音は、あの時代の勢いを思い出させてくれます。一気に、あの頃の自分に戻してくれる音楽の力、それを引き出しているのはニッキーさんのアナログ使いの修練の賜物なのでしょう。それにしても、本当に懐かしい。ニッキーさんが生まれる前のものばかり。これがニッキーさんの日頃の愛聴盤ということでビックリ。これは、年長者にとのお付き合いの成果?
もう一度、クラシックに戻って、オーマンディ・ロンドン交響楽団でドボルザークの新世界や、インバル・のマーラー交響曲1番。
ここ迄ある程度の時間、聴かせていただいて耳が環境に慣れてきたのでしょうか、ここで先ほどのピアノの響きの違いと同じ様なものを感じたのです。そこで、リスニング・チェアを天井の梁の真下から少し前方に動かして見ました。オーケストラの響きが背後に回りこむようになりました。そこで、この位置でピアノをかけてみると、より自然な響きが感じられます。梁一本で、こんなに影響が出るのは、逆にそこまでニッキーさんが各種ツールで追い込んでいる証拠なのだと思います。
最後は、カラヤン・ウィーンフィルのデッカ録音の名盤のエソテリックSACD再発版のフォーマット聞く比べという、オーディオ・オフ会の真似事をして頂きました。
CDレイヤーのデータ・リッピングしたものをCDプレイヤーのDAC部にUSB接続で再生、CDプレイヤーでのCD再生とSACD再生の3つの聴き比べです。結論は、一番シンプルなCD再生が一番音楽的。リッピングデータのUSB接続DAC再生はあっさりして面白み躍動感が薄い、SACD再生は表面的には綺麗なのですが低音のうねりリズムのタメなどのエネルギー感が出てこない、CD再生は肌触りは粗いものがあるが、それも含めて演奏の熱量がストレートに出てくる。古いものは古いままで再生するのが一番という結果です。ニッキー邸の再生音が、流れていた時代を感じさせる秘密はここにあるのかもしれません。
音楽が生まれた時代の息吹とエネルギーまで感じさせてくれるニッキー邸は、まるでタイムマシーンの様で、楽しいひと時を過ごすことが出来ました。ニッキーさんからは、これで一旦の完成形とするのか、次のステップの大きな展開を狙うのか悩んでおられるという話を伺いました。このシステムで音楽の時間旅行を満喫するのも、更なる高みを目指すのも、どちらも捨てがたいのは全く同感でありました。
ニッキーさん、楽しい豊かな時間を本当に有難うございました。
レス一覧
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パグ太郎さん、先日はお越しいただきありがとうございます。
レコードはパグ太郎さんの専門外のジャンルが多かったかな?
と思っておりましたが、楽しめたというお言葉ありがとうございます。
レコード、CD、今後は配信によるハイレゾと一通りやっておりますが、アーティストや指揮者が活躍した時代の音源が一番だと思っております。日記にもその事を言っていただきありがとうございます。
byニッキー at2018-05-28 22:26
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パグ太郎さん、こんばんは。
高尾のアジトに潜入ですね。
近々、ご訪問の機会を頂けそうなので、興味深く、読まさせて頂きました。
すっかり、アナログ派ですね。私のなんちゃってアナログとは大違い。
次のステップ、大いに期待出来ます。
もしかして。。。
byいたちょう at2018-05-28 22:59
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どんぐりさん
レス有り難うございます。
ニッキーさんの部屋からの眺望は素晴らしいです。眼下に広がるのは見渡す限りの緑の丘陵の連なりです。こんな贅沢な眺めに合わせて聴く音楽は何が良いかなと思っていました。メンデルゾーンやシューベルトの交響曲とか、スメタナやドボルザークの管弦楽曲とか。こうなると、窓を開け放って、風に吹かれてみたい所ですが、流石にご近所迷惑でしょうね。そういう想いを抱かせる程、自然でゆったりできる音でした。
byパグ太郎 at2018-05-28 23:33
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ニッキーさん
先日は素晴らしいひと時を有り難うございました。
当方、クラシックしか記事にしていないのですが、お邪魔したお宅で聴かせて頂くのは、オーナーが好きで聴いている音楽が一番だと思っています。技術的な事は自分には難しくてわからないのですが、この音楽のどこを良いと感じて聴いておられるのかと、その御宅のシステムの出している音は、通じる所が多いと思うのです。そして音楽の聴き方を知ることは、どんなジャンルであっても凄く楽しい体験です。
ニッキーさんのお宅でもそういうことを感じました。オーディオ的にまともなコメントができていなくて心苦しいのですが、ニッキーさんが完成形かなと思われるのは本当に良くわかりました。
byパグ太郎 at2018-05-28 23:50
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いたちょうさん
高尾のハッカーのアジトに潜入してきました。もっと怪しい体験になるかと身構えていたのですが、極めて真っ当で健全で自然な世界でした。
次の飛躍を選ぶとすると、いたちょうさんの背中のひと押しなのかもしれません。お手柔らかにお願いいたします(笑)
byパグ太郎 at2018-05-29 00:00
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パグ太郎さん
ふだんは余り聞かれていないであろうロック・ポップ系の音楽や、ご自身は手をつけていないアナログということで、ちょっと領空侵犯的なご体験だったようですね。
それにしてもニッキーさんはたいへんなアナログへの踏み込み方なのですね。『男子三日会わざれば刮目して見よ!』でしょうか。以前、ご一緒したとき以来、かなりの試行錯誤が続いているということでしょうか。
確かに、アナログの世界は、過ぎ去った時代を眼前に生き生きと蘇らせてくれます。ということは、ニッキーさんのオーディオはこれ以上進む余地がないという折り返し点にまで達したということでしょうか。それともハイエンドオーディオ復活の話題に沸くテクニクスのように温故知新、古きアナログに再び新たな未来を切り拓くということでしょうか。もし後者だとしたら、存外、不穏な臭いもしますね(笑)。
byベルウッド at2018-05-29 00:12
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ベルウッドさん
領空侵犯で撃墜なんて物騒なこともなく、平和な体験でした。逆に同日、赤羽方面で開催されたフランコの領空侵犯イベントの様子を拝読して、スクランブルかけたくなっていました。
ご想像の通り、折り返し地点でソフトの充実に向かうか、不穏なジャンプをするのか、お悩みの様子でした。その気持ちわからなくも無いです。
byパグ太郎 at2018-05-29 00:35
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パグ太郎さん おはようございます
たぶん、初レス?だと思います
以後よろしくお願いします
ニッキー邸の訪問記、読まさせていただきました
以前から、日記は拝見していましたが、中々勇気がなく、レスをできないでいました
今回はニッキーさん(私の先輩、師匠!?)の日記と言うことで、思い切ってレスしました
いつも思うのですがパグ太郎さんの訪問記は凄く文才が溢れていて凄いなと畏敬の念を持って拝見していました
だからこそ気が引けていたのですが・・・
ニッキーさんの邸宅には私も訪問させてもらった事がありますが、素敵な音ですよね
それをタイムマシーンと表現しての時間旅行とは才気溢れる文章で憧れます
次のステップというのも大変楽しみですね!
ニッキーさんがどんな選択をするのか、そしてどう変っていくのか、わくわくですね!
それとですね、いきなりで、大変失礼で、不躾で、失礼かもしれませんが・・・
もしよろしければ拙宅の方に来ていただけないでしょうか?
パグ太郎さんの確かな耳に、私の現在のシステムがどう聴こえるのか、評して欲しいと思っています
それと会って色々とお話してみたいなとも思ってます
6月は暇な日が多いのでもしよろしければご一考ください
当方、埼玉在住です
もし都合の良い時があり、気が向いたらで良いのでよろしくお願いします
それでは失礼します
byぽにしぇっと at2018-05-31 06:00
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ぽにしぇっとさん
初めまして。レス有難うございます。
日記について、褒め過ぎのお言葉、恥ずかしくなってしまいます。コミュニティの皆さんと違って、技術的なことはサッパリで、オーディオの事は殆ど何もしていないのです。唯一あるのは、好きな曲を好きな様に聴きたいという思いだけなのです。ですので、よそ様のお宅に伺って、オーナーの方がどんな音楽をどう聴きたいのか、それを教えて頂けるのが楽しみで、そこで感じた事を書いているだけなのです。それは、実は独り合点の感想なのかもしれません。
お誘いの件は、公開の場ではなく、別途、メッセージで返事させて頂きます。
byパグ太郎 at2018-05-31 22:58