日記
リバーステレシネの精度 -Compressor 3.5
2021年02月10日
60iにプルダウンされた24pを24pにするリバーステレシネ、プルダウンは可逆処理ですので正しくリバーステレシネを行なう事さえ出来れば元の24pを欠落無く再生可能です。
プルダウンは一般的に24pのフレームを60iのフィールドに2:3:2:3と振り分け10フィールド(5フレーム)で1周期となる2:3プルダウンが用いられます。
その他比較的有名なものとしては2:3:3:2などのプルダウンが存在しており、それ以外にも殆ど使われる事のない特殊なプルダウンは数多く存在します。
プルダウンの一連の周期はフィールドシーケンス, フレームシーケンス, ケイデンス, カデンツなど呼ばれます。
60iにプルダウンされた24pを正しく扱う為の規格が映像分野には存在していますけれども現実にはそれを活かし正しく運用される例は皆無といえる程に少なく殆どの場合は24pからプルダウンされている事を無視し通常の60iとして扱われます。
その為、識別信号が付加されていないばかりか60iにプルダウンされた24pに通常の60iテロップがスーパーインポーズされていたりそもそものフィールドシーケンスを無視した通常の60iとしての編集が行なわれていたりする事が多々あります。
フィールドシーケンスを無視した60iテロップの合成はリバーステレシネを阻害し、フィールドシーケンスを無視した編集はプルダウン周期の連続性を失わせたり24pフレームを破損させる原因となります。
実際のリバーステレシネが困難であるのはこのような理由がある為です。
リバーステレシネは非常に多くのシステムに搭載されておりクオリティも製品により様々です。
酷いものではプルダウン検出をまともに行えず全くといっていい程に役に立たないものもあり、優れたものでフィールドシーケンスを無視した合成, 編集を多用したソースさえも上手く丸め込み綺麗に見えるよう処理をするものまであるようです。
コンピューターソフトウェアには周期を手動設定可能なものが多数存在しております。
もちろんCompressor 3.5にもリバーステレシネ機能が搭載されます。
ただし周期の手動設定やフィルムソースの自動検出は行えず、フィルタ設定からリバーステレシネを選択したら自動処理をさせる事となります。
Compressor 3.5にもリバーステレシネはどの程度の精度で自動処理を行ってくれるものか気になり先日少しテストを行ってみました。
結果ですけれど、アニメーションソースでは周期の検出が上手く行かないのか目立ったコーミングが多発してしまい使い物になりません。
実写ソースではほぼ完璧な処理を実現している様に見えますけれど2若しくは3カ所でコーミングが発生しており大変惜しい様に思いました。
実用上は実写ソース専用となりアニメーションには全く使い物にならない印象です。
実写ソースでのリバーステレシネ結果をアップロードいたしましたのでYouTubeにてご覧頂けます。
Experimental Up-Convert with Compressor 3.5(LaserDisc Image quality sample in live action video)
Compressor 3.5のリバーステレシネは周期の手動設定を行えない他にも残念な点があります。
リバーステレシネを選択するとリサイズやリタイミングのフィルタを設定出来なくなってしまうのです。
純粋にリバーステレシネを行う分には問題の無い仕様ですけれどもフォーマット変換用途では任意の設定でのリサイズ, リタイミングを併用出来なければ二度手間となってしまい使いかっての面で問題となる様に思います。
Compressor 3.5のリバーステレシネは正直微妙である様に思いました。
実写映像に限れば使い物にならない事はありませんけれど態々これを選択する優位性を感じられませんので。