日記
PC版Dirac Liveでベースマネージメント
2022年10月10日
拙宅のマルチchシステムを少し変更しました。サラウンドSPの配置換えを行ったことと、サブウーハーを3台使う様になったので、Dirac Liveを使ったベースマネージメントにトライしました。
【サラウンドSPの配置替え】
まずは配置換えについてです。
図1の配置図に赤で示した位置に、サラウンドSPを持って来ました。それまでは、この図のサラウンドバックSPに置いてありました。
図 1 SP配置図
理由は、以前の位置(試聴位置の左右よりも少し後ろ、110°位の位置)だと、ソースによっては、少し音像が背後に引っ張られすぎる場合があったからです。微妙な音量バランスの違いで変化するので、好きではありませんでした。そこで、左右よりも少しだけ前の位置(正面から80°くらい)に持ってくることにしました。以前の配置はITU配置に近いので、拘っていましたが、こだわりを捨てたという事です(笑)。こちらの方が、微妙なバランスのソースでも安定して(安定した音像配置で)聴ける気がします。サラウンドSPが前方にあるので、左右に定位する音像もよりはっきりと聞こえる様です。
後ろから包み込まれるような方が良い場合は、サラウンドバックSPを使って、5.1ch再生することにしました。ROONを使って、サラウンドSPとサラウンドバックSPの入れ替え(スワップ)は簡単にできます。こうすると、ITUに近い位置です。映画などはこちらが良いかも?
もう一つ最近変更した点は、サブウーハーを3台にした事です。図1のSWに加えて、黄色で示した背面L/RのアクティブウーハーをLFEインプットを利用して、SWとして利用することにしました。元のSWと背面L/Rのウーハーの音量は1:1程度にして、並列接続で使っています。これは、SWの超低音再生音量限界を引き上げますし、(80Hz程度のクロスでも)SW方向に音像が引っ張られることを無くす効果があると思います(図2も参照)。
【PC版Dirac Liveによるベースマネージメント】
配置換えを機に、Dirac Live(音響補正ソフト)を使ったベースマネージメントを検討しました。使っているのは、PC版のDirac Liveで、Dirac Live Processorと呼ばれるものです。WindowsやMacに導入して使う事ができますが、現状、各SPの周波数特性やインパルス特性を補正するだけで、SWを使ったベースマネージメントの機能は付いておりません。
ISPのプリアンプなどに付いているDirac Liveはこれが付いています(もしくは後付けで導入可能)。PC版もそのうちこの機能が導入されそうですが(一部のユーザーにはbeta版が配布)、未だ一般ユーザーは使えません(泣、汗!)。
そこで以下に示すように、PC版Dirac LiveのターゲットカーブにHigh/Low passフィルターを組み込んで、ベースマネージメンをDirac Liveで行える様にしました。
拙宅マルチシステムとPC版Dirac Liveによるベースマネージメント
サブウーファーの周波数特性とローパスフィルター(80Hz)を含むターゲットカーブ
フロントSPの周波数特性とハイパスフィルター(80Hz)を含むターゲットカーブ
PCのDirac Liveと共に導入しているJriverで、7ch分のシグナルをサブウーハーのチャンネルに加算したのちに、Dirac Liveによって、サブウーハーにはローパス、他のSPにはハイパスフィルターが掛けられるという具合です。加算するときには、各chを−6dB減じたのち加算してクリップ防止しました(SWのボリュームを6dBアップ)。ターゲットカーブの中高音部が直線ではなく、僅かにうねっているのは、B&W802の元々の特性を活かそうという試みです。
この様にしてベースマネージメントして得た特性が図5と6です。
フロントSP+SWの補正後に測定した周波数特性(REWで測定)
センターSP+SWの補正後に測定した周波数特性(REWで測定)
上手くブレンドしています。
この様にして得た低音は、非常にソリッドで、Dirac Liveの良さを十分に感じさせるものでした。ROONやJriverでもこのようなフィルターを使ったベースマネージメントは可能ですが、これほど良い低音は得られた事がありません。現状、かなり満足する低音が得られています。今後、PC版にもベースマネージメント機能が付加させることを、楽しみに待ちたいと思います。
レス一覧
-
Tomyさん
あちらからお戻りになったのに静かだな、と思っていたら、すごいことやっていたんですね!実は私も寸暇を惜しんで伊豆に来ていて、2年ぶりの大掛かりな大作業(笑)をしていますが、それはまた後ほど。
サラウンドSPの位置を、いわゆる「かないまる式」にされたんですね。実は私も今、サラウンドSPを含めたSP位置の大幅な変更に取り組んでいるので、興味を持ちました。ご記憶と思いますが拙宅でもTomyさん同様にマルチを再生する際には、かつてサラウンドはAmator IIIを120度ぐらいの位置に動かしていました。拙宅はフロントワイドがあるので、LRとの間はこれで補ってきたのですが、Auro-3Dに限定すれば、チャンネルベースソースなので、FWには音が本来は入っていないわけです。それをISPの拡張機能で組み込んでいたのですが、入交さんのような製作者目線からはやはり邪道でして(汗)、この際、「王道」を歩もうと(笑)。
私が選んだ「王道」のサラウンドの位置は90度ですが、Tomyさんが工夫された、「切替式」サラウンドSPっていいアイデアですね。確かに、やや前めの方が良い音源とやや後ろめの方が良い音源があるとは私も思いますので。
後半のDirac Liveを利用したSW3台を組み込む作業は、途中はいまいち理解できない部分も私にはあるのですが(汗)、結果のf特は素晴らしいし、聴感上もSolidだそうで、大成功でしたね。これって、Dirac Liveの「Bass Control」を自分でやったということですか?f特だけでなく、位相管理までしちゃったんでしょうか?(ココ、フルバージョンのウリなので!) SWを含めた合計10台のウーファーは、リスニングポイントまでそれぞれ距離が違うし、定在波もありますから、その位相をきれいに整えるのは「人間業」でできるのか、やられたのであればまるでK&Kさんみたいですね!!! またお邪魔したくなりましたよ(笑)。
byAuro3D at2022-10-10 19:42
-
Auro 3Dさん、今晩は。
早速レス入れて頂いて有難うございます。
サラウンド配置換えの切っ掛けの一つは、Auroさんの入交さんとの交流日記ですよ! 「普通の配置だとフロントSPとサラウンドSPが離れているので、音像が定位し難い・・・」のような記載があったと思います。何時も参考にさせて頂いてます(御礼)。
>「切替式」サラウンドSPっていいアイデアですね。
これ、なかなか行けるんです(笑)。大半は前目のサラウンドSP配置でOKですけども、ピンクフロイドの「狂気」のような、真後ろを人が走るようなソフトだと、ITU配置がやはり良いです。
>Dirac Liveの「Bass Control」を自分でやったということですか?f特だけでなく、位相管理までしちゃったんでしょうか?
60〜70%くらい「Base Control」を手動で行なった感じでしょうか?違うところは、3つのSWはDirac Liveが一括で位相コントロールしているところです。SWを並列接続しているので、一つ一つの位相はコントロールされていません。80Hz以下だと音の波長は数m以上で長いので、各SWから試聴位置までの距離の差(背面側SWが50cmほど近い)は問題ありません。だた、SWの種類が違うので、各SWが元々持っている位相の差は解消されていないところが痛いところです(少なくとも逆相ではありませんが、笑)。聴感上の低音はホントいいです。もう少し細かく調整してみようかと思います。0.5dB動かすと変わります。カーブは背面側の2ch用セットの低音がソリッドで好きなので、これを参考に6種類作って試した結果が今のカーブです。これができるところが、手動の良いところですね(爆)。
>またお邪魔したくなりましたよ(笑)
また、いつでもどうぞ!
お待ちしております。
byTomy at2022-10-10 21:11
-
Tomyさん
そうでしたか、実は私も入交さんのアドバイスを真に受けまして(笑)、来年のリフォームが待っていられなくなり(爆)、会議がOnlineであることをいいことに、日曜から伊豆に来て、今、脚立と電動ドライバーで慣れない作業中です(汗)。今週末に入交さんのスタジオにお邪魔することになっているので、VOG以外は自分でやってしまおうと、ほとんど意地になってます(笑)。
今、サラウンドSPを90度に設置したところです。今回は時間がないので、置いて繋ぐだけで、K&Kフィルターの挿入もDirac Liveによるキャリブレーションもしていません。いくつかのNative音源で試し聴きをしてみましたが、後ろの壁の形状の違いからか、かなり左右の音量が違って聴こえます(汗)が、『狂気』は90度でも何とか後ろを走ってくれます(笑)。いずれまた詳しくはご報告しますが、やはりこういう音源ですと、5chを同じSPにする効果は大きいですね。「これがIntentionだったのか、今まで聴いていたものは何だったのか?」と感じる音源も少なくありません(汗)。
>3つのSWはDirac Liveが一括で位相コントロールしている
なるほど、そういうことでしたか。あの「音のいい」2ch用のSPのSW部を利用しているんですね。2chとして利用するときは、そのままSuper Woofer(4Way?)として機能するんですか?最近、3Way や4Wayのウーファーだけを、内蔵パワーアンプで駆動するSP(カナダのParadigmなど)が出てきていますが、これらも最新のSWと同様、低域の位相補正などをする機能を組み込んでいるようですね。それだけ、一般の家庭では定在波などがあって低域をIntention通り再生するのが難しいことの表れだと思っています。PC版にBass Controlが搭載されたら、Tomyさんの手動とどの程度違うのか、是非比較試聴に伺わせてください!
byAuro3D at2022-10-11 17:12
-
Auro3Dさん、
>K&Kフィルターの挿入もDirac Liveによるキャリブレーションもしていません。・・・・・・・5chを同じSPにする効果は大きいですね。
ええ?、サラウンドSPもSonetto VIIIになったんですか???そりゃあ、凄い!
>2chとして利用するときは、そのままSuper Woofer(4Way?
そうです。2chとしての利用は今までどうりです。
byTomy at2022-10-11 20:15