ZONOTONE
Silver Grandio HD-10(Glandio)
¥69,300(税込)
発売:2008年7月15日
空間表現の上手さは実に見事
PC用オーディオI/FとインフラノイズのDAC-1間にて利用。
所有および実聴した同軸デジタルケーブルとしてはこれの他に同社のHD-5000となりますので、そちらと交えてのレビューとなります。
最初はHD-5000の方を利用していたのですが、HD-10に変更後まず驚いたのは空間再現性の高さです。
左右方向の広がりも良好ですが、何より奥行きの表現力については思わず唸ったほどの性能です。
試聴に利用した曲はブライアン・ブロンバーグのカメレオンという、ウッドベース・ピアノ・ドラムの3編成のJAZZなのですが、3楽器全て音像を捉えることもできかつ、ドラムにいたってはシンバル・スネア・バスドラの位置もきっちりと把握できるほどでした。
また、このデジタルケーブルはデジタルであることを忘れさせるほど、アナログな鳴り方をしてくれるという特徴もあります。
HD-5000に至っては元気なキレのある音なのですが、やはりデジタルだな(※)と感じる音でした。
※ 私の言う「デジタルな音」というのは下記のようなイメージです。
・寒色系の音色であり、暖かみがない。
・高解像度・情報量は多いが、非常に分析的な鳴らし方をする。(モニター調?)
・全体的に音の線が細く、また低域の膨らみ等が少ない為、エレキギターのようなの高音については「シャリシャリ」した軽薄な鳴り方になる。
・硬めの音。
再生音は品位を伴った美音(ゴージャスと言ってもいいかも)であり、音にエッジが立つこともなく、中・低域に重心を置いたどっしりとした鳴り方であることから、このケーブルは芸術調に値する部類の製品だと思います。
生楽器の演奏など、リアルな音で再生されますが、やはりその音には独特の色艶やまろやかさ、といった成分がプラスされている感じです。
実は私は写実調の音の方が好きなのですが、使用するアンプやスピーカー(ケーブル含む)に写実調のものを用意してあげれば、写実調派の方でも問題なく使用できるかと思います。
と、ここまで非常に高評価なのですが、1点だけ注意です。
このケーブル、空間再現性に加えて、大編成のクラシックなどのスケール感も実に見事に表現してくれますが、本製品を利用する場合は小型サイズのスピーカーは避けるべきです。
本ケーブル導入当初、私はEntry Siを利用していたのですが、このケーブルのスケール感の表現能力はEntry Siには明らかに能力不足でした。
(スピーカーから、「そのスケールの再生は無理無理。」という悲鳴がきこえてくるような、いっぱいいっぱいな音の出方になりました。)
その後、KEF iQ3を導入した後はそれなりに鳴らせるようになりましたので、少なくともブックシェルフ型のスピーカーを使用される方で本製品の導入を検討される方は、iQ3と同等か、それ以上のサイズのスピーカーをご使用ください。
【SPEC】●導体:純銀コーティングHigher-OFC(99.996%)●構造:1芯同軸構造●絶縁体:テフロン(FEP)●シース:内、外共に新PVC(RoHS対応)●シールド:アルミヘッドテープの上に錫メッキ軟銅線編祖を重ね、更に外側に硬鋼性スプリングによる独立グランドアース線付を加えた3重シールド構造●フェライトコア:出力、入力別に2本装着●RCA端子:オリジナルコレクトチャック方式、高純度ロジウムメッキ、8枚羽根の高級品採用●インピーダンス:75Ω